ワイン談義(7)解禁前におさえておきたいボージョレ・ヌーヴォーのポイント
ボージョレ・ヌーヴォーとは、フランス南部ブルゴーニュ地方のボージョレ地区で、その年に収穫された「ガメイ種」というぶどうから造られる新酒のことです。
「Nouveauヌーヴォー」は、フランス語で「新しい」という意味です。
直訳すると“新しいボージョレ”今年採れたぶどうの出来を確認するための試飲用ワインでした。
醸造法も熟成させない簡単な方法が用いられるので、苦み成分のタンニンが少なく、飲みやすいワインに仕上がります。
◆『ボージョレ』=ガメイ種
ボージョレ地区で栽培されているぶどうの、そのほとんどを占めているが『ガメイ』という品種です。大粒で病気等に強く、丈夫な品種です。花のような香りと、フレッシュでフルーティー、軽快な味わい、柔らかいタンニンが特徴で、ボージョレ・ヌーヴォーも、このガメイを使って作られております。
【何故、日本文化で根付き、風物詩となったのか】
「初物」を何よりも好む日本人の価値観、特に食において「はじめて」獲れたもの、造られたもの、売られたものを喜んで口にするという価値観が、日本人には刷り込みというレベルで根付いています。
初鰹、秋刀魚、まつたけ、ひやおろしなど食欲の秋は特に初物が多いシーズンだと思います。新酒のワインを「世界で最も早く」この言葉に惹かれる人も多いかと思います。
ただワインの全体的な消費量が上がってきている一方で、ボージョレ・ヌーヴォーに関しては、生産量・人気共に陰りが出てきたように思います。
飲み手のレベルアップと数多くのワインが流通したことにより、コスパが悪いと考えてしまう方も多いようです。
9月頃収穫したワインを11月の第3木曜日に販売するわけですから、相当な急ピッチで醸造しなければ間に合わせることが出来ません。
そこで「マセラシオン・カルボニック」と呼ばれる醸造法がとられます。これは密閉タンク内を炭酸ガスで充満させることでぶどうに圧力をかけ、色素等を素早く抽出するもの。
しっかりと色素を含みながらタンニンの少ない、軽くフレッシュなワインに仕上がります。
出来立てのワインを解禁日に間に合わせるために航空便運賃が上乗せされているわけですから高いわけです。ボージョレ・ヌーヴォーと同等かそれ以下の価格で美味しいワインが無数にある昨今では、舌の肥えたワイン通を唸らせるにはハードルが高いように思います。
ワイン好きの筆者としましては、ボージョレ・ヌーヴォーに関わらず、白いヌーヴォーのマコンヴィラージュヌーヴォーやスペイン、イタリア、ドイツの新酒などを集めて仲間内で楽しむお祭り的な感覚で楽しむには素晴らしいワインだと思います。
【実は格付けが存在するボジョレーワイン】
下級とされるものから順に
・ボージョレ
・ボージョレ・シュペリュール
・ボージョレ・ヴィラージュ
・クリュ・ドゥ・ボージョレ
の4段階となります。
筆者が過去に飲んでみて、とても感動したボージョレヌーボー(ボージョレ・ヴィラージュ)を1本ご紹介させていただきます。
ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー ヴィエイユ・ヴィーニュ
【タイユヴァン】
パリの老舗レストラン「タイユヴァン」がセレクトしたヌーヴォー。古樹【ヴィエイユ・ヴィーニュ】のブドウから造られる、フレッシュかつコクのある上品な味わい。張りのあるサクランボやストロベリーの第一印象からバナナのニュアンス、果実味が口いっぱいに広がります。
2020年にその他5種のヌーヴォーと飲み比べした際は圧倒的なクオリティで1番印象に残っております。世の中的にもリアルイベントが盛り上がりを見せてきておりますので、今年の解禁日は久しぶりにいろいろな種類のボージョレ・ヌーヴォーを試してみたいと思います。
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