ABOUT

1921年 
建築界の巨匠により学校として建設

自由学園明日館(みょうにちかん)は、1921年(大正10)、羽仁吉一、もと子夫妻が創立した自由学園の校舎として、アメリカが生んだ20世紀を代表する建築界の巨匠、フランク・ロイド・ライトと高弟 遠藤新の設計により建設されました。明日館建設にあたり羽仁夫妻にライトを推薦したのは遠藤新。帝国ホテル設計のため来日していたライトの助手を勤めていた遠藤は、友人でもある羽仁夫妻をライトに引きあわせました。夫妻の目指す教育理念に共鳴したライトは、「簡素な外形のなかにすぐれた思いを充たしめたい」という夫妻の希いを基調とし、自由学園を設計しました。教育対象が広がるのに合わせて、昭和9年(1934年)にキャンパスは南沢(現在の東京都東久留米市)に移り、初等部を始めとして、男子部、幼児生活団、最高学部が開かれました。

自由学園明日館開校当初
自由学園明日館

1997年 
国の重要文化財指定を受ける

目白の校舎は、明日館(みょうにちかん)と名付けられ、卒業生が在学中に学んだことを生かして、社会に働きかける場所として活用されてきました。その後、明日館の歴史的、芸術的価値が評価され、1997年(平成9)5月、国の重要文化財指定を受けました。建物の中で傘をさすほど老朽化が進み、取り壊す計画もありましたが、多くの人の努力により保存されることとなり、1999年(平成11)3月から2001年(平成13)9月まで保存修理工事が行われ、同年11月に再開業いたしました。

動態保存の文化財として
利用されています

その後、建造物を使いながら保存する、いわゆる「動態保存」の文化財として見学、公開講座、結婚式、コンサート、雑誌の撮影などで多くの方にご利用いただいています。大正10年(1921年)4月15日、開校の日に入学式が行なわれた教室は、”Rm1921”と名付けられ、現在の自由学園を紹介する写真などを展示し、見学可能な日にはご覧いただいています。

帝国ホテルを手掛けた
フランク・ロイド・ライト

巨匠フランク・ロイド・ライトの設計により建設された芸術的な建物です。空間を連続させて一体構造とする設計は、枠組壁式構法(2×4構法)の先駆けとの見方もあります。木造で漆喰塗の建物は、中央棟を中心に、左右に伸びた東教室棟、西教室棟を厳密なシンメトリーに配しており、ライトの第一期黄金時代の作風にみられる、高さを抑えた、地を這うような佇まいを特徴としています。プレイリースタイル(草原様式)と呼ばれるそれは、彼の出身地・ウィスコンシンの大草原から着想を得たもので、池袋の界隈に開放的な空間を演出しています。

フランク・ロイド・ライト